ロサンゼルスの師匠たち③マイケル・パッカー氏

Pocket

約3年間、徹底的に身体的テクニックに関してのレッスンで学んだ。一言で言うとかなり厳格なドラマーだ。

正式な名前はMichael Packer(マイケル・パッカー)氏だが、弟子たちはみんな揃ってMike(マイク)氏と、英語圏でよくある短縮形で呼んでいるので、ここではMike氏と呼ばさせてもらいます。

特にMike氏は足のモーラー奏法で話題になり、足専門の教則本やDVD、そして大手DW社から自身のシグネーチャーのヒールレス・ペダルも発売しているドラマーだ。街のドラム・ドクターという表現が合うと同時に、まさに足のプロフェッショナリストだ。

そのドラマーが抱えてる問題に対して、即効性のある処方せんを出してくれる。その練習法を実践すれば、自身も今まで治らなかった癖が1週間で治ったという経緯がある。すごく細かいことばかりだが、非常に理にかなっている。

例えば僕の場合は、パラディドルで右手アクセントを叩いた後の、ディドル(ダブル/RR)を叩く時に、手首が下向きになったまま(垂れ下がったまま)プレイしていて手首に負担がかかっていたり、当時Dave Weckl氏のテクニックにかなり影響され、ダブルストロークをやるときに手首を内側から外側にひねる方法でやっていたが、Mike氏からは「彼のテクニックはユニークすぎるからまだ真似はするな」と一喝されたことを覚えている。

Mike氏からすると、「まず基本的な体の自然な動きと構造を理解する。そしてその先は、その自然な動きの際に使われている筋肉の使い方を実行しながら、自分なりの楽な動き・奏法を見つけても良い」と述べている。確かにDave Weckl氏も、少なくともFreddie Gruber氏に習うまでは、あんなユニークな動きはしていないわけだ。

まずは自然な体の動きを用いた、体に負担がかからない動きを染み込ませる。その後に自分なりの動き方を発掘していけば、非常に効率的である。この順序が逆になってしまうと、将来的に体に負担がかかるような癖が取れなかったりして、面倒なことになる。

「ドラムを始めたばかりの頃は、色々なドラマーや好きなドラマーからアイデアを盗み、視覚的に叩き方を真似してみたりというやり方になる。ただ、あくまでそれは参考程度にしてほしい。なぜならその憧れのドラマーとあなたは同じ体の感覚を持っているとは限らないから。まずは体の自然な動きに逆らわないようにしてほしい」と、Mike氏は述べている。

あとは何よりも足のアプローチだ。

僕自身はペダルを踏んだ後に、ビーター(ペダルに付いてる、打面をヒットするためのフェルト)を打面に付ける奏法しかやってこなかった。

Mike氏から徹底的に教わったのは、ビーターが打面をヒットした後に、リバウンドを利用してビーターを打面から離す方法だった。手の奏法でのフル・ストロークや、リバウンドを利用して跳ね返ってくることとまったく同じ理論だ。

とにかく最初は、ビーターを打面から離すのがここまで難しい感覚だと驚いたことを鮮明に覚えている。足に関してはとにかく、ビーターを打面につけるか/離すか、この2つの奏法を楽曲のタイプによって自由に使い分けられることがゴールとなる。

このように、Mike氏の理論はものすごく理にかなったものだ。

レッスンで教えていただく内容は、冷静に考えると当たり前のような体の自然な動きに関する事、いざスティックを握ると意外に忘れてしまっているような、身体的なことばかりだ。Mike氏の体の自然な動きをきちんと活用して無駄な動きなどを排除した、スマートで非常に効率的なアプローチからは未だに多く学ぶ事がある。

今回ご紹介したMike氏のテクニックが存分に詰まったDVDは、特に足のアプローチに関する観点がガラリと変わり、今まで以上に足が気持ち良く動くようになる事に間違いないので、是非ともご覧になってみて下さい。
(↓こちらの写真から、または当サイトのドラマーズ・ショップからも詳細確認可能)

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です