最近まで、このような素晴らしい物があることに気が付かなかった事に罪悪感を感じるくらい本当に素晴らしいアイテム。簡単に言うと、スティックとロッズが合体して1本になった物だ。
まず通常のロッズとは、スティックとブラシの中間にあたる物。細い竹筒・ひごが数十本束になっている。実際の演奏では、スティックだと音量が大きすぎたり音質が硬すぎる時、ブラシだと音量が小さすぎたり音質が柔らかすぎる時など、音色・音量の両面でスティックでもブラシでも合わない時がロッズの出番となる。
このROHEMAのロッズ・スティックは1本のスティック上で、一方はスティック形状、もう一方がロッズ形状になっているため、1曲の中でまったく違う音質や音色、スティックではどうしてもつけられないダイナミクスなどを表現したい時にスティックからロッズに、またはロッズからスティックに持ち替える必要がなくなるという優れものだ。
楽曲の中で、スティックとロッズの間での音色変更を行う場面は山ほどあるので、全て説明しきれないが、すごくシンプルだが使用例を1つご紹介したい。
例えば、柔らかい声の女性ヴォーカルのバラード調のポップスで、AメロとBメロ(Pre-Chorus)では両手ともロッズ側で叩き、サビに移る直前の1小節中のどこかで、まず右手をスティック側に持ち替え、右手でフィル・インを叩きながら左手をスティック側にクルっと回して持ち替える。
そうすると、サビでは両手ともスティック側で叩くことになるので、AメロやBメロから比べてガラっと聞こえ方もダイナミクスも変えることが出来る。もしもシンバル系が少しうるさいと感じる場合は、もちろん右手だけロッズ側のままで進行しても良い。
この場合のクルっと回して持ち替える時のコツは、持ち替える直前の表拍(この場合2拍目)でオープン気味にしたハイハットを1発叩き、その拍の裏拍のタイミングでクルっと回すとやりやすい。そして、右手でフィル・インを叩いてる間に左手も持ち替える。
ポイントはどちらかの手が何か叩いてる最中に片方の手は、持ち替えを行えれば、すごく滑らかに進行させられるところだ。色々とスイッチの仕方を試してみると、音楽的にも創造力が広がる。
このROHEMAのハイブリッド・スティックの良いところは、この様に、左右それぞれ好きなタイミングで、ロッズの音とスティックの音を自由にスイッチすることが可能だというところだ。今までの様に、スティックとロッズをスティックケースに用意しておいて、持ち替える必要がなくなった。
・演奏時に注意するポイント
①ロッズ側は通常のロッズなので、ハイハットやシンバルの金物系を叩く時は、例えエッジで叩いてもスティックほどの鋭さは出せない。強めに叩くように意識しなければならない。特にサビのセクションなどでライド・シンバルでビートを刻む時、右手~ロッズ側を利用~ / 左手~スティック側を利用~の際は、右手~ロッズ側~のライド・シンバルの粒がしっかり聞こえなくなる。よって、シンバル系を叩く時の右手は、よっぽど小音量を求められない限りスティック側で叩いた方が有効かもしれない。
②左手のスネアをクローズド・リムショットする時は、リムをヒットする側は、スティック側にするようにしよう。もしロッズ側にしてしまうと、ちょうど黒いゴムの結合部分がリムにあたることになり、カっという木っぽい音が出なくなる。
そしてもう1点は当たり前の事かもしれないが、持ち替える時に誤ってスティックを落としてしまわないようにする点だ。
親指が真上を向く、フレンチ・グリップのようなフォームでクルっと空中で1回転させる方法が楽だが、落とすリスクもある。安全性を考慮するなら、空中に放り投げて回転させるよりは、指をうまく使って回転させるほうがいいかもしれない(スティック回しをする時のご自身のやり方で)。
・デメリット
スティック全体の約右半分の部分は、ロッズ部分と黒いゴムのようなもので結合されている。ロッズ側でプレイする時にシンバル系を叩く際、黒いゴムの結合部分は見事にシンバルに当たってしまう。
僕の場合はまだそこまで使っていないが、それでも既にゴムの結合部分にシンバルの角に喰い込んだ痕が残っている。
スティック側でプレイする時はその黒いゴムの結合部分を持つ事になるので、シンバルなどに喰い込んだ痕でデコボコしているとかなり持ちにくくなってしまう↓
最後に・・・
このROHEMA社のハイブリッド・スティックのおかげで、ロッズとスティックの持ち替えのタイミングをきちんと計画する必要がなくなった。
持ち替える時にスティック自体を落とさないように注意はしなければいけませんが、クルっと回して持ち替えるだけで、一瞬でロッズの音からスティックの音へのスイッチが可能です。
1曲の中でダイナミクスが極端に変わるような曲で、スティックとロッズを頻繁に使い分けなければいけない時、アコースティック系のショー、歌モノのバック、小さな会場での演奏、そしてどんな事をやるのかまったく予想出来ないセッションなどで是非とも活用してみて下さい。
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